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タンポポ 〔蒲公英〕
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 タンポポ〔蒲公英〕とは
 黄色い花を咲かせ、綿毛(冠毛)のついた種子を作る花として、あまりにも有名な雑草。
しかし江戸時代はもう少し身分が高く、園芸愛好家に栽培され、園芸品種も作り出された。
 根が長く、50cm以上も長く伸びる。表面の花や茎を刈っても、根が残っていれば容易に再生する。
そのため、非常にやっかいな雑草として嫌われてもいる。
 花の特徴
タンポポの花は、直立した花茎の先に小さな花が円盤状に集まって咲き、1つの花のように見える。
これは、キク科植物の花の特徴。
小花は舌状花といわれる形体をした両性の花で、朝に開き夕方になると閉じている。
花茎は開花が終了すると匍匐(ホフク)し、果実を散布する直前になると再び直立する。
タネは球状の綿毛の集まりで、一つ一つがパラシュート形の長冠毛がついていて風散布される。
鮮やかな黄色い花がタンポポの象徴となっているが、シロバナ(白花)もある。
白い乳液
 タンポポの茎を折ると、仲から白い乳液のようなものが出てくる。
これは見た目の通り「乳」と呼ばれる乳液で、細菌やカビなどの侵入を防ぎ、傷をふさぐ作用があると考えられている。
 乳液は茎の中だけでなく、根の中にも含まれている。
切り傷やすり傷に、タンポポの乳液をつけるという民間療法もある。
中央アジアには、タンポポからゴムを採取する地方もあるという。
タンポポ体操
タンポポの花茎は、開花からタネの散布にいたるまで、大きな動きをみせるので「タンポポ体操」と呼ばれている。
花を咲かせる時は、花茎を伸ばして直立するが、花が終わると地面に横たわってしまう。
しかしタネが熟す頃になると再度立ち地上がり、花よりも高く茎を伸ばしていく。
これらの運動は、省エネをはかりながら効率よく受粉~タネの散布までを行うシステムだと考えられる。
 在来種と外来種のタンポポ
 タンポポは、「在来種」と「外来種」とに分類することが出来る。
 外来種のセイヨウタンポポは繁殖力が旺盛で、繁殖する条件がすべての面で在来種よりも勝っているといわれる。そのため都会ではセイヨウタンポポが在来種タンポポを駆逐してしまったという説もある。
 しかし、都会を離れた場所ではまだ在来種は健在であり、都会の環境が在来種よりもセイヨウタンポポの方が適合しているので、都会派と田舎派とに別れたという説もある。
 さらに最近の研究では、セイヨウタンポポと在来種タンポポとの雑種も生まれているので、そんな分類は無意味だという説も生まれてきている。
よく在来種と外来種との見分け方などがと説明されたりしているが、雑種も存在する様になると、その判別法もあやしくなってきた。
在来種のタンポポ
日本に自生するタンポポは、20種類以上あるといわれる。
それぞれ微妙に違いがあるが、在来種の中で一番メジャーなものは「カントウタンポポ」といわれている。
「エゾタンポポ」(中部以北)だけは、他のタンポポと性質などが異なる点があることから別扱いにされている。
その他に、シナノタンポポ、トウカイタンポポ、カンサイタンポポ(関西以南)、ミヤマタンポポ(高山性)、シロバナタンポポ(関東~九州)、などがある。
在来種タンポポの特徴
 在来種タンポポは、夏になると地上部を枯らして休眠し、秋になると葉を展開し越冬して春に備えるというサイクルを繰り返している。
また自家不和合性が強く、他の株との受粉でないと種子ができないという性質がある。
外来種のタンポポ
ヨーロッパ原産の帰化植物であると考えられている。
外来種のセイヨウタンポポが日本に渡来したのは、明治時代初期といわれ、もともとは北海道で放牧している乳牛に食べさせる為に導入したとされる。
タンポポの茎や葉を切ると白い乳液が出るので、西洋では牛に食べさせると乳の出がよくなると信じられていた。
また、西洋からきたので、セイヨウタンポポという。
繁殖力旺盛なセイヨウタンポポはやがて全国各地に広がり、雑草化していった。
セイヨウタンポポは、外総苞片が反り返っているいわれているが、雑種も多く存在するようになり、定かではなくなってきている。
セイヨウタンポポの繁殖力の秘訣
春だけでなく、夏らか冬にかけても開花結実する。
在来種タンポポは、春しか開花しない。
タネの数が、在来種よりも多い。 → 2倍以上。
タネが在来種よりも軽く、綿毛により遠くまで飛んでいく。
タネの発芽温度域がゆるやかで、比較的いつでも発芽できる。
成熟が早く、小さいうちから開花する。
一年中、葉を広げて光合成を行う。
在来種タンポポは、夏になると枯れてしまう。
単為生殖も可能。
単為生殖とは、通常のメスとオスによる生殖ではなく、単独で子を作ること。
「無配生殖」や「無融合生殖」ともいう。
単為生殖は、(メスとオスによる)優性生殖の2倍の早さで増殖することが出来る。
在来種タンポポは、ムシなどにより花粉が運ばれないと結実できないが、セイヨウタンポポは、どちらもOK。
1本でポツンと咲いているタンポポは、セイヨウタンポポが多い。
セイヨウタンポポは単独で繁殖する事が出来るので、ひとりぼっちでもよいのであるが、在来主タンポポは一人では生きていけないので群生することが多い。
開花期
【4月 ~ 5月】  - 在来種タンポポ
【4月 ~ 夏以降】 - 外来種タンポポ
外来種の西洋タンポポは、春だけでなく夏も開花結実し、条件が許せば冬でも開花するという非常に開花時期の長い植物である。
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 他の利用
食用
 セイヨウタンポポは、ヨーロッパでは古くから食用に利用されていた。
 タンポポには、ビタミンやミネラルが多く含まれているという。
◇タンポポの葉・茎・花

サラダとして生で食する。若葉がよい。 (少し苦味がある。)
てんぷら。
おひたしや汁の実。
 → 茹でてから味見をして苦味があったら、しばらく水にさらす。
   (水にさらすと苦味が薄れる。)
◇タンポポの根
コーヒーの代用品として利用する。
→ 根を干して乾燥させ、ローストして粉にする。
※世界大戦中のドイツで飲んでいたという。
全草を乾燥したものは生薬として利用された。
解熱・発汗・健胃・利尿などの作用がある。
⇒ 生薬は「蒲公英」(ホコウエイ)という。
ゴム
 茎に含まれる乳液からゴムを採集する所もある。
第2次大戦中に、ソ連のクリミア地方・グルジア地方やカナダで、ゴムタンポポが大規模に栽培されたという。
 
 
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